こんにちは。めん太役の岡田です。
今回は、『最高の体調』について書評します。
文明が発達したことで、本当に我々は幸せになっているのか。
この本では、現代人を蝕む「文明病」がどれほど私たちの不調の原因になっているか。
そして、文明病を克服し本来の自分を取り戻すための策が進化医学の観点を用いて紹介されています。



という方にはオススメの一冊。
ページ数:287ページ
出版社: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
所要時間:2〜3時間
著者は、メンタリストDaiGoさんが「日本で一番尊敬する」とまで言う、パレオさんこと鈴木 祐さん。
以前書評を書いた『ヤバい集中力』に続いて、2冊目になります。
1日平均15本の論文と3冊の本を読むと同時に、2万〜4万字の原稿を生産されているという集中力の超人な方です。
そんなパレオさん、最初からそんな超人だったかというとそうではなかったそうです。
出版社の社員として、激務に耐えていた時代もあったそうで、その頃は”体はブクブク”、仕事のパフォーマンスも下がっていくばかりだったそう。

そんなパレオさんですが、進化医学をもとにライフスタイルを変えた結果、体質改善に成功し、仕事もバリバリこなせる集中力が身についたらしいです。

それでは早速、書評していく!
現代人を蝕む「文明病」

あなたの体調が悪いのは、あなたのせいではありません。
現代人に特有の「文明病」が原因です。

「文明病」とは、近代社会の変化によって引き起こされる、現代に特有の病気や症状を意味します。
たしかに文明の進化によって、人々の生活は便利になりましたが、肥満やうつ病など、昔は少なかった症状が急増しています。
この原因は、人類の進化と現代のミスマッチです。
人類は600万年以上にわたって、狩猟採集生活を続け、その生活に適応できるよう体を進化させてきました。
ところが文明が急激に進化したことで、狩猟採集生活をしていた頃と現代とで大きなギャップが生じてしまいます。
そのギャップが、現代人の苦しむ様々な不調として顕在化しています。
肥満はその典型です。


つまり、
どこに遺伝のミスマッチがあるのかを特定し、ミスマッチを起こしている環境を遺伝に沿うように修正してやればいいのです。
遺伝のミスマッチを特定するためのヒントとなるのが、「炎症と不安」という2つの要素。
現代人の不調の原因は大きく分けるとこの2つに分類されます。
不安:先の見えないぼんやりとしたもの。古代における不安とは種類が異なる
現代人の不調の原因①「炎症」
膝を怪我して腫れ上がること、アレルギー反応や発熱・・・炎症反応は、体がなんらかのダメージを受けたときに起きます。
ただ、現代人に発生する炎症は、”擦りむいた膝”のようにわかりやすい形ではなく、もっとわかりにくい形で起きます。
内臓脂肪が原因となり、臓器に炎症が起こるなど目に見えない形でじわじわと現代人を苦しめているのです。


炎症が起きる原因は、古代と現代を比較して「多すぎる」「少なすぎる」「新しすぎる」という“3つのミスマッチ”です。
少なすぎる:有酸素運動、筋トレ、睡眠、空腹感、ビタミン、ミネラル、食物繊維、タンパク質、自然との触れ合い、他人とのコミュニケーションなど
新しすぎる:加工食品、トランス脂肪酸、デジタルデバイス、インターネット、慢性的なストレス、孤独など
現代人の不調の原因②「不安」
現代は不安の時代です。
不安は記憶力や判断力を奪い、心疾患や脳卒中のリスクさえ高めます。
なお古代も不安は存在していたわけですが、現代のものとは種類が異なります。
現代:ぼんやりとした不安(将来、仕事、人間関係、ネットからのバッシングなど)

不安なんて感情なかったらいいのに!
と思ってしまいますが、「不安」にだって存在理由があります。
それが「アラーム」としての機能。

みたいに危険性を教えてくれる機能が不安であり、不安があるから人類は生き延び繁栄することができたのです。
つまり“目の前”に潜む危険を知らせてくれるのが「不安」の機能です。
ただ、「いまここ」を生き続ければよかった狩猟採集民と違い、現代人は「いつかお金がなくなるかも・・・」みたいな”遠い未来”への不安と闘っています。
「いかに古代と現代の時間感覚のズレを修正してやるか」が、不安を克服するポイントになるのです。
文明病を断ち切るために私たちができること

「炎症と不安」という2つの要素が、いかに現代人にとって問題であるかを見てきました。
という形で、炎症と不安は「負のスパイラル」となりタッグを組んで私たちを襲ってきます。

それでは、いかに文明病に立ち向かえばいいのか。
そのために私たちができることが、本書では各章ごとに紹介されています。

文明病対策①「腸内環境を整える」
人間の腸は、栄養を体内に送り込むと同時に外敵が体内に入り込むことから体を守っています。
腸内環境の乱れは、アレルギーや認知機能の低下につながり、「疲れやすい体」の原因にもなります。
・空気は綺麗に保つ:HEPAフィルター付の空気清浄機おすすめ
・発酵食品、プロバイオティクス、食物繊維を食べる
文明病対策②「環境を変える」
現代人は自然との触れ合いが減少し、孤独な人が増えています。
「自然」と「友人」への投資がもっとも費用対効果の高い行動です。
なお、僕みたいな人見知りの人も心配しなくて大丈夫です。
人間はもともと小さな集団の中で繁栄した生物で、見知らぬ人とうまく人間関係を作れるように設計されていません。
自分にとって真の理解者が一人でもいれば大丈夫です。
・観葉植物を目に入る場所に置く
・2日に一度は公園に行き、最低10分間木々の中で過ごす
・気にする相手との接触時間200時間を目指す
(同期行動や深い会話を意識)
メモ:『最高の体調』でオススメされていた観葉植物
「NASAが推奨する観葉植物」と紹介されていました。
まぁどれでも効果はあるみたいですが、参考にしてもいいかもしれないですね。
・スパティフィラム
・ポトス
・セイヨウキヅタ
・キク
・ガーベラ
・サンセベリア
・チャメドレア
・ツツジ
文明病対策③「過剰なストレスに対処する」
人間は急性で短期的なストレスをさばくことは得意ですが、現代の慢性的なストレスには対応できません。
慢性的なストレスに対応するためには、「睡眠」「運動」「デジタル断食」がポイントです。
・12〜14時までの間に15〜20分の昼寝を取り入れる
・週2〜3日12分以上のウォーキングをする(日が沈んだあたりから心地よい疲れを感じるくらい)
・SNSの使用時間を決めておく


文明病対策④「自らの価値観を見つける」
古代の人々の価値観は「生きる産む育てる」だけでした。
しかし、生き方が多様化した現代においては価値観も多様化しました。

一見いいことにも思えますが、価値観の多様化によって現代人の未来像はぼんやりしたものに変わってしまいました。

結果、未来との心理的距離感が遠くなり、「ぼんやりとした不安」に襲われます。
つまり、「ぼんやりとした不安」を振り払うための戦略は「自らの価値観を見つけること」です。
ただし、この方法を用いても、価値観は簡単に見つかるものではありません。

「仮の価値観」でもいいので一旦決めて生活し、しっくりくるかどうか考えてみるといいかもしれませんね。
文明病対策⑤「死の不安を考える」
すべての人間は無意識のうちに「死への不安」を感じています。
「死への不安」をコントロールするためのキーワードは「畏敬」と「観察」
人間は自然、アート、偉人などの大きな存在に「畏敬」の念を感じると、自分の小ささを思い知らされ、永遠の時間の流れと一体化します。

結果、無意識に感じている「いつかくるだろう死」に対する不安が和らぎます。
また、”今”をマインドフルに観察することもまた、未来への不安を和らげてくれます。
・マインドフルネスに暮らす

文明病対策⑥「”遊ぶ”ことを意識する」
遊び心がある人ほど、幸福な人生を送っている傾向があります。
「遊び心がある=趣味を見つける」
ではありません。
日々の仕事、勉強、育児・・・人生のあらゆる面を「遊び化」していきましょう。

「遊び化」するためのキーワードは「ルール化」と「フィードバック化」です。
フィードバック化:プロジェクトの進捗を記録していくのが基本
・タスクをこなす際には、「3のルール」や「イフゼン・プランニング」を利用
・作業が終わったら必ず記録を残す
・「3のルール」と「メタ認知」を併用したフィードバックが有効


書評まとめ『最高の体調』鈴木 祐
『最高の体調』鈴木 祐
いかがだったでしょうか?
→人類の進化と現代のミスマッチによる。「炎症」と「不安」が大きな原因
・文明病を断ち切るために私たちができること
→腸内環境改善から死を想うことまで幅広い対策がある
あなたの調子が悪いのは、あなたのせいではありません。
この進化しすぎた文明に、人間の体が対応仕切れていないだけです。
この本に載っている対策を一つずつ実践していき、少しずつ人間本来の姿を取り戻していきましょう。
目指せ!狩猟採集時代の民!!
